月に憑かれし者

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欧米において「月は精神的」で、日本において「月は心情的」と松岡正剛氏が書いていた。
「なるほど」と納得できる言葉である。

そこで「心情」を語ることは「力不足」にて出来かねるので「欧米系」に走ったともいえる。
だからといって「精神」が解かる筈もないのだが。

しかし、そこにみる「実在・架空の者たち」は、極めて魅力的であり、
彼らもやはり「月に憑かれし者たち」なのであろう。

月に映る吸血鬼
月に踊る魔女
月に酔う人狼
月に憑かれし者



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月と吸血鬼は、夜を共にする。

月は夜を支配している。
月の光がなければ、視界に広がるのは闇である。
人工光が、当然の如く認識されている現代でも、それを経験することは多い。
それは、月の思惑ひとつで夜の世界が、変わることを意味している。
故に、月は夜を支配している。

吸血鬼は、夜に暮らしを求める。
吸血鬼は、太陽に弱いという以前に、闇に生きる。
そして、伝承に残る吸血鬼は、自責や不安の念を通じて、人々の「心の闇」に現れる。
フィクションにしろ、伝承にしろ、吸血鬼は月の支配する夜の闇に依存している。
故に、吸血鬼は、夜に暮らしを求めざる終えない。

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吸血鬼の糧として、想起できるのが血である。

そもそもこの血は、生命の川と呼ばれ魂と同一視されてきた。
つまり血には、生命を支配するチカラがあるという考え方である。
そして、多くの時代において月は、女神が支配している。
ここには、「月=女性」の考え方が根づいている。
現代でも「月の相位=経血の流出」は、定かに解明されず仮定の域を出ていない。
しかし、古来よりその関係は認識されてきた。
そして、女神の経血には「知恵」「多産」「再生」「不死」などの意味付けがされている。

それは、エジプトにおいて
「イリスの血がファラオたちに神性を与え」

それは、道教において
「赤い陰液は長寿もしくは不死を与える」

そして、シャーマンが息づく文化においては
「月経の期間に予言的夢を見る」
これらに現れている。

これらの時代には「女性の血は何らかのチカラを持ち不死の象徴」とされている。
そして月の相位により、女性の血は月に支配されている。

吸血鬼が獲物として、女性を多く狙うのは、このチカラによるところかも知れない。
女性の血によって「超人的な力」を得、「不死」を得るのである。

吸血鬼に必要不可欠なものは、月が支配している。

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月の色は、神秘性を伝える蒼き月である。
また時として、赤き月も現れる。

そして、フィクションの吸血鬼は「蒼き顔」をし、伝承においては「生者の如き赤き顔」をしている。
これは、吸血鬼の顔を月の光が照らしてるだけなのではないかと思える。

吸血鬼は、月を映す鏡である。

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