「生前より太くなった」以外の条件の紹介。
主な変化として「肉体の欠落」「姿勢の変化」が上げられる。
埋葬地を掘り返したとき、肉体の一部に欠落が見られる。
何処かに吸血鬼が居て、近くの屍肉を食べた。
吸血鬼となり、自分の体から抜け出し、自分の肉体を食料とした。(主に食べられたとされるのは、指・手や腹(腸)である)
「土中で飢えに苦しんだ挙句、自分の肉体を食料としてしまった。」とする「早すぎる埋葬」(仮死状態の内に死亡したとされ生きたまま埋葬され、埋葬後意識を取り戻しパニックに陥る)が指摘されるが、それはあまりにも無理がある。
もし何らかの理由で監禁され一切の食料を与えられ無かったとしたなら、3日で究極の飢餓、水も無ければもっと早く訪れるかもしれない。そんなときなら、自分の体を食そうと思うだろうか。
そんな事例は、アウシュビッツにおいても数々の遭難事件においてもあまり聞かない。
究極の状態にあっても生物はそんな発想をしないのではないだろうか。
希に仲間を食する事はあっても自分の肉体は抵抗を感じるものである。
埋葬地から手だけが出ている。
埋めたときと姿勢が変わっている。
更に出入りの為の穴が空いている。
これらの状態は、この者が吸血鬼となって夜な夜な抜け出している為だ。
以上の理由付けがされて、その者(又は近くの者)は、吸血鬼となる。
前記の「早すぎる埋葬」を当てはめる。
仮死状態で埋められる。確かにそういう事も有ったかも知れない。
しかし、中世には吸血鬼が無数に居た。それらが全部仮死状態のまま埋められたとは、非常に考え難い。もし仮死状態で埋められた人が、居たならば極めて限られた数になるであろう。
それを全てだとするのには、やはり無理がある。
ここで考えられるのは、その時代に多く居た野生の動物、狼・野犬・熊などの屍食動物である。人間を含めた動物は腐るとかなりの腐臭を放つ。それは、屍食動物にとって大きな目印となりえる。
流行病(当時はその認識が無いので吸血鬼化の伝染)などの場合には、埋葬をする側の人は埋葬をされる側の人から早く逃げたいと思い、その結果埋葬する穴が浅くなったとも考えられる。
その状態では、腐臭は更に酷くなり、屍食動物にとっても穴が掘りやすくなる。
そしてこれら屍食動物が、獲物に対し最初に食いつくのが腹であり、掘り進み引きずり出し易いのは手や脚などである。
これらの事により、埋葬地に穴が空いているのも、手が地上に出ているのも、そしてあらゆる処が食いちぎられているのも説明がつき、それに加え人間の内で最初に腐り始めるのは内臓であり、腹には内臓が多く骨も無い為、露見し易いという理由もある。
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