魔女の裁判は、極めて理不尽なものであった。 裁判において、「魔女」と判決される条件は、「告白」であった。 何故「告白」であったのか。 「悪魔に加担する」という行為は、精神的罪であり、物質的な証拠が見つけ難い、いや寧ろ無いからである。 こういった「例外的犯罪」の判決を下すには、通常の規則に則っていては出来ないとされ、全ての通常法的手続きは無視されたのが大きな要因である。 全能の神と敵対為し得る「悪魔」が、自分に不利な証拠を残す筈が無いとされ、 証拠を得るためには、「悪魔」と関わった人間から自供を得るより方法が無いと結論付けられていた。 「悪魔」の存在を認める立場からすれば、多少理論的ではあるかも知れないが、「悪魔」の存在を否定も肯定もしていない立場の者にとっては 理不尽な法でしかない。 そして「告白」を得るために残酷な手段が取られ、疑わしき者は全て対象者となり、その対象者の殆どが「告白」をしたとされている。